「ピッチャーて怖いよな。」
「え?」
先輩が唐突にそんなことを言った。
「かっこよくねーだろ。
ピッチャーかっこいいなんて言われるけど俺は全然そんなんじゃねえ。先発の時は緊張して吐きそうになるし、マウンドで逃げ出したいときだってある。」
真面目な顔をしてつぶやく先輩の目は、なんだかせつないような感じだった。
「そんなことないですよ。
ピッチャーって孤独ですよね。いくらひとりじゃないって言っても、バッターにむかって投げるのは自分なわけですし。
一球に全てがかかってるって思ったら誰だって背負いたくないプレッシャーだと思います。
それでも、最後まで戦い抜く。そんな姿がかっこいいんじゃないですか?
怖いのは当たり前です。」
私は思っていることを口にしたんだ。
中村先輩は決してかっこ悪いなんてことないから。みていればわかる。本当に野球が好きな人だから。

