Be Girl-翼のゆくえ-

「…もしもし」

電話の向こうの相手は今にも消えそうな声を出す。

けれどそれがハルカである事を私は瞬時に理解した。

「もしもしハルカ?元気にしてる?今どこにいるの?今から会えない?」

私の質問の連続に、ハルカはただ黙っていた。

私はハルカの名前を呼びつづけたが、ハルカからはまるで反応が無い。

「ごめん。今ハルカ、体の調子が悪いみたいで。親が家にいないって聞いて、僕が看病しに来てるんだけど、とりあえずは心配ないよ。2,3日すれば体調も戻ると思うから、その時に会いに来てあげてよ。ハルカ本当に一人ぼっちになってるから…」

何も答えないハルカの代わりに、セイヤがそう話をまとめた。

セイヤの存在は心強く、ハルカにとって大事な人である事がよくわかった。

「落ち着いたら連絡ください」

とセイヤに伝え、セイヤは私に

「ずっと友達でいてあげてくれるかな。不器用だけど、こいつはイイヤツだしさ」

と言い、電話を切った。