Be Girl-翼のゆくえ-

でも。でも、でもでも…

『ここで逃げれば前と同じ道を引き返す事になる』

その方が怖い。

もう、1人は嫌だ。


「じゃ、私達はちょっと行くトコあるから。終わったら連絡して!」

そう言って3人は、来た道を真っ直ぐ引き返して行く……




「おっ!カワイイねぇ!入って入って!」

ホテルの部屋で待っていた男は30後半くらい。
スーツの上着を脱いでネクタイを外し、下半身はトランクス1枚という格好で私を出迎えた。

「名前は何て言うの?そういえば、エッチは初めてなんだって?」

次から次へと質問を繰り返す男。

言葉は頭の中を素通りしていく。
私は曖昧な返事ばかりを繰り返していた。

ベッドに座って俯く私の横にいる男の吐息は、ひどく黄色く感じる。
それなのに嫌な気がしない自分を不思議に思った。

もちろん怖かった。
男として、いや、人としてすらも見ていない自分がいるのは確かだった。

けれど、男を便利な道具と思えてくる。
全てを洗い流し、全てを巧く回転させる力がある、夢のような道具に。