Be Girl－翼のゆくえ－

「ちょっと待ってください！」

ナナミは急いで体を起こし、玄関に向かうカズオを呼び止めた。

「お金、返します。これは受け取れません」

そう言って３万円をカズオに突き出した。

しかし、カズオは優しい表情でそれを受け取る事を拒んだ。

「これは私の体につけられた値段なんです。何もしてないのに受け取る権利なんて…」

自分が何を言っているのかわからなかった。

「…わかった。じゃあ、その３万円で僕と話をしてくれないかな？」

カズオの言葉に驚き、またナナミは言葉を失う。

ただ一緒に話をするだけで３万……

「…本当にそれでイイんですか？」

「もちろん。今はそういう気分なんだ」

そう言ってカズオは靴を脱ぎ、また部屋に戻った。

２人で入る今日２度目のこの部屋。

２人の立場は逆転し、今度はナナミの方が緊張している。