Be Girl-翼のゆくえ-

下半身に感じる痛みと、男の唾液のニオイ。

天井を見つめたままのナナミは、頬に涙が伝った事に気がついた。

2度と泣く事は無いと思っていた自分が、今こうして泣いている。

そのままナナミは、1時間以上も泣き続けたのだった……



それからナナミは、性に対してどんどん鈍感になっていく。

相変わらず、昼間は男を部屋に連れこんでは眠っている母親。

自分はその部屋からわずか壁1枚隔てた4畳半の部屋で眠る。

母親の喘ぐ声。
男の吐息。
ボロアパートが軋む音。

これまで何百回と聞き、何度耳を覆ったかわからないその音が、今では何とも思わなくなっている。

夜になると、また店の客とホテルへ向かう。

小学6年生のナナミには、一晩10万円という破格の値段がつけられていたが、それでもナナミを買う男は少なくない。

その1割の1万円というお金が、ナナミの懐に入る。

ナナミは母親にバレないように、身を削ったお金を貯め続けていた。

そしてナナミは中学生になった。