Be Girl-翼のゆくえ-

そんなある日。
いつものように昼過ぎに起き、夜、店で働いている時の事。

店によく顔を出している常連の男に、ナナミは急に呼び止められる。

「ちょっとこっちにおいで」

ナナミは客の男など大嫌いだったが、どんな事も仕事だと割り切っていた。

体を触られたり、しつこくキスを迫られたりなんていうのは日常茶飯事で、自分がどれだけ嫌がっても誰も助けてくれない事を知っていた。

諦めて受け入れるしかない…

結果は同じ事……

ナナミは無理に笑顔を作り、男の所に駆け寄った。

「これ。おじさんからのお小遣いだ。洋服でも何でも買いなさい」

男は1万円を財布から出すと、そのままナナミのポケットにそのお金を忍ばせた。

ナナミはその意図がわからなかったが、これから起こる事を予感していた。