Be Girl-翼のゆくえ-

その日の帰り道。

リンと同じ電車に乗り、最寄の駅で降りてリンを見送ると、早速1通目のメールを送った。
そして連続して3通、今度はケータイを変えてまた3通送った。

家までの帰り道では、もう一つのケータイで2通送った。

結局、家に着くまでに9通のイジメメールをユキに送ったことになる。


あの朝帰りの日から、両親とほとんど口を利かなくなっていた。

母親は前よりも気を遣ってくるが、父親は話を聞き出そうとしなくなった。

静かになった食卓で、私はふとユキの事を考えた。

『今どんな気分でいるんだろう…』

そう考えると食欲が無くなり、無言で箸を置いて階段を上った。

電気も付けずベッドに倒れこみ、何も考えないようにした。

そんな意識とは裏腹に、あの時のユキの苦悶の表情が思い浮かんでくる。

私は決断を迫られていた。
イジメをするか、止めるか。

答えはどちらも単純だった。

けれど私には選ぶ自由がない。迫られる答えは決められているのだ。

どちらを選んでも自分は苦しむことになるだろう。

それは仕方の無い事……