Be Girl-翼のゆくえ-

「ケンジには色んな事を教えてもらって、それから色んな経験ができた。でも、そうやって経験していくうちに、うまくいく為のコツを掴んで、肝心な気持ちや感覚はドンドン鈍感になっていった気がするんだ」

リンの言葉は重かったけれど、その言葉にウソはきっと無かった。

「あの時はあんなにケンジの気持ちになって考えて、涙まで流れたのに。いつの間にそういう気持ちを忘れちゃったのかな…」

俯くリンの目からは涙が零れ、短いスカートから覗く太ももにポタポタと落ちた。

「本当にごめん…ごめんね…」

私は泣き崩れるリンを無言のまま抱きしめた。
リンの涙は暖かく、肩に染み込む涙は私とリンの隙間を埋めてくれるような気がした。

そのまま、しばらくの間リンを抱きしめていた。

そして、体が離れたその瞬間。
まるで覚悟を決めたような目で、リンは真っ直ぐにこちらを向いた。

私も、その目を真っ直ぐに見た。