Be Girl-翼のゆくえ-

「それ以上、喋らなくていいよ。辛い気持ちの半分は、私がもらっておくから」

リンはそう言って、強くケンジの体を抱きしめた。
ケンジの体が急に暖かさを取り戻したような気がした。


リンはこの後、一切涙を流すことはなかった。

もう会えなくなる寂しさだとか、気持ちを最後に伝えてもらった事だとか、切なくこみ上げてくる気持ちが無かったわけではない。

ただ、人を好きになる事っていいなと、単純にそう思った。

「ありがとう。本当にありがとう」

驚くくらいに素直に言葉は出た。

この言葉を最後に黙りこみ、抱き合う二人のカラダが離れたその瞬間、リンの初恋は終わったのだった。



「決してイイ恋じゃ無かったかもだけど」

リンは中学時代の自らの恋をそんな言葉で締めくくった。