Be Girl-翼のゆくえ-

学校から駅まで徒歩5分。
そこから電車に乗って2駅目。
西口改札前の、大通りを挟んで正面にあるマック。
放課後の呼び出しは、いつもこの場所だった。


店に入ると彼女達は、注文を全て私に任せて、順番にトイレの中に消えていく。
制服を脱ぎ、メイクを変える。夜の街に繰り出すための準備が始まる。

トイレから出てきた彼女達は、知り合いの私から見ても高校生には見えない。
体操服のジャージの中で、私のカラダと心はさらに萎縮してしまう。

「じゃあ、これに着替えてきて~」

ナナミに手渡されたのは、見たこともない制服だった。

『何で?』と一瞬思ったが、それを聞くこともできない。
無言でコクリと頷き、私はトイレに向かった。

トイレの鍵と心の鍵、私は二つを同時にかける。

『…また、トイレの中だ…』

着替えた制服からは香水のニオイがした。
それはまだ、私が知ることもない別世界のニオイにも感じられた。

3人の意図は全く理解できなかったが、
私はただこうして彼女達の言いなりになるしかない……