「ねぇ。これ、借りていっていい?」
いつの間にかリンの横で、パラパラとページを捲るケンジがいた。
ハッとしたリンは彼の顔を見上げると、いつもは遠くから見つめているだけの笑顔が、リン1人だけを見つめている。
それと、リンをからかう男子生徒たちから救ってくれたケンジの優しさ。
それはまるで、この窓際に降り注ぐ太陽の光と同じように、この一点に集中しているような気がした。
違いと言えば、その笑顔が眩し過ぎて直視できないという事だけ……
リンは何も言わず頷き、
「サンキュー!」
というケンジの声を聞いて、山積みの本を小脇に抱えて背中を向ける彼の背中をじっと見つめていた。
見えなくなったケンジの背中。笑顔。
それは瞼の奥に深く刻まれていて、何度も頭の中に飛び出してきてはリンの心を熱くさせた。
初めて感じたこの喜びと、微かに感じる胸の痛み……
それらは今後、リンを大きく変えていくのだった。
いつの間にかリンの横で、パラパラとページを捲るケンジがいた。
ハッとしたリンは彼の顔を見上げると、いつもは遠くから見つめているだけの笑顔が、リン1人だけを見つめている。
それと、リンをからかう男子生徒たちから救ってくれたケンジの優しさ。
それはまるで、この窓際に降り注ぐ太陽の光と同じように、この一点に集中しているような気がした。
違いと言えば、その笑顔が眩し過ぎて直視できないという事だけ……
リンは何も言わず頷き、
「サンキュー!」
というケンジの声を聞いて、山積みの本を小脇に抱えて背中を向ける彼の背中をじっと見つめていた。
見えなくなったケンジの背中。笑顔。
それは瞼の奥に深く刻まれていて、何度も頭の中に飛び出してきてはリンの心を熱くさせた。
初めて感じたこの喜びと、微かに感じる胸の痛み……
それらは今後、リンを大きく変えていくのだった。
