Be Girl-翼のゆくえ-

ケータイを取り出すと、母親からの着信が6件とメールが2件。
それから『ハルカ』と表示されているメールが1件。

時刻は夜中の3時。
随分長い時間眠っていたらしい。

ハルカもナナミもリンも、いくら電話しても繋がらない。
仕方が無く、道端に腰を下ろし、ぼんやりと空を見上げた。

朧気な三日月の他には何もない。
それさえも間もなく闇が覆い尽くしそうな空を……


「また…1人になっちゃった…」

そんな言葉がふと漏れた。
何故か他人に言われたような気がして、一瞬ハッとなった。

そのまま視線を落とす。
4枚の紙切れを右手に握ったまま、駅までの道を歩いてきたらしい。

どこをどう歩いたか、どんな顔をしていたか、私は知らない。

真っ白な頭に残っているモノは、カラスの鳴き声とアルコールの混ざった嘔吐物のニオイくらい。
何故か濃く鮮明に残っている。