「なーんだ。じゃあ本当に何にもなかったんだー。」
「だからずーっとそう言ってたでしょ!!」
辺りが沈みかけた太陽で赤くなった頃、私と茉莉はリュウの家から帰る道を歩いていた。
結局あの後、私たちはリュウの家でテレビを見たりぼちぼち勉強もしたりして過ごした。
陽介君は今日はリュウの家に泊まるらしく、珍しく茉莉と2人になった。
「リュウは辛かっただろうねー。餌が目の前にあるのに食べられないなんて!」
餌…?
リュウ辛かったの?何でだろう?
「…やっぱ18才だね…。
ちなみに辛いって、今梨華が思ってるような辛さじゃないから安心して。」
「??
あ、そうだ、あのねちょっと協力してもらいたいことがあるんだ。」
「何ー?どうしたの?」
「リュウのお父さんが今どうしてるのか調べたいの。」
「えっ?」
私が言ったことに茉莉は目を丸くする。
でもそれも一瞬で、すぐに笑みを浮かべた。
「やっぱほっとけないんだね。」
「うん…。もう1人だなんて思って欲しくない。」
茉莉は歩く速度を遅くして私の方に体を向ける。
「あたしに出来ることがあれば何でも手伝うよ!」
「ありがとう!」
私1人じゃ絶対限界があるはずだから、茉莉に協力してもらえてよかった。
「リュウのことは陽介が一番詳しいと思うから陽介にも聞いてみたら?」
「うーん。やっぱりその方がいいよね。」
私は茉莉に同感する。
「陽介、職業とか勤め先とかまでわかるかなー?」
………
「…?梨華?どーしたの?」
なんか…変な感じが…
「あぁ!!!
呼び方だ!!」
「え!?」
「陽介って言ってるからだ!!!」
君が無くなってる!!!


