チューリップ



階段を下りるとすぐに見える玄関には誰もいなかった。

代わりに女物の靴と男物の靴が1足ずつある。


これ…どっかで見たことがあるような…。


かすかに違和感を抱きつつ、リビングへ入る扉を開けた。



「ぐっともーにんぐ!梨華にしては随分と遅い起床ねー!」

「おはよー!」


「茉莉!陽介君!」


目に飛び込んできたのはソファーでくつろいでる2人。


心なしか笑顔が怪しいんだけど…。


「梨華の家行ってもいないし?陽介に梨華が昨日の夜リュウの家に行ったって聞いて、ここに来たの。」

「一応気をきかせて12時まで待ったんだけどねー。」

「12時!?」


陽介君の言葉で、壁に立てかけてある大きな時計に目をやると、12時5分を示してる。

そんなに寝てたんだ…。
ホッとして安眠しすぎた…。


というか、気をきかせてって…


「なんなら上で続きをどうぞ?」

「なっ!!」


顔をにたにたとゆるませて言う茉莉に顔を赤くする。


「かーわいー!」

陽介君まで…!



「てかもうお前ら帰れよ!!」



ついに黙ってみてたリュウがキレました…。


それでもさりげなく顔を赤らめてるリュウをいじる2人とリュウの争いは長く続いた…。