「お邪魔しまーす…。」
中に入るとやっぱり綺麗な玄関で、天井は高いし照明もオレンジ系のオシャレな雰囲気。
何より涼しい!!
そして私の前にはTシャツにスウェット姿のリュウが立っていた。
見慣れてない姿のリュウに思わず心臓がドキッと大きく波打つ。
「こんなクソ暑い夜中に…わざわざごめん。
大丈夫か?」
「いやー、思わず家を飛び出ちゃって…。
とりあえず着いてよかったー!」
正直、8月初期の夜中は辛かった…。汗の量が半端じゃないよ…。
全然たどり着けなくて不安だったけど、なんかリュウの姿を見たら安心した。
「これ、はい。ケータイ!」
「あぁ、ありがとな。
ちょっと上がってくか?あー…でももう遅いか…。」
リュウは私が差し出したケータイを手にしながら玄関の棚においてある高そうな時計を見る。
「梨華が平気なら泊まってくか?
着替えとかは適当に貸すけど?」
…泊まってく?
私が、リュウの家に…?
………
「いいの!!??」
自分でも目が輝いたのがわかる。
「あ、あぁ。そんな嬉しいのか…?」
「うん!!」
だってリュウがどんな生活してるのか、担任としても個人的にも気になってたんだもん。
「…欲求不満なのか。」
「っな!!ちっがーう!!!!!」
広い家に私の叫びが浸透した。
「冗談だよ。」
リュウはニヤニヤ笑いながらすぐ近くにある扉の中に入っていった。
恥ずかしすぎる…。
赤くなった顔をパチンと両手で叩いてから、リュウの後を追った。


