チューリップ

見てなくても梨華がゆっくりと動き出すのがわかった。


松葉杖の規則的な音が少しずつ遠くなっていく。



「コツ、コツ、コツ…」




廊下が静寂を取り戻してしばらくたってから、ゆっくり顔を上げた。



もちろんそこに梨華の姿はなく、あるのは真っ直ぐ続いている薄暗い道。


その風景は、少し前の俺に見えていたものだ。





やっと逃れられた孤独を、俺は自ら引き寄せたんだ。