そう……誰よりも真面目で寂しい人。

幼い頃から独りぼっちで
心を開いた相手は、キティだった。

彼女が、社長の寂しさに寄り添い
いつもそばに居て見守っていた……。

後から来た私が敵うはずがないのだ。

「俺には、君が真面目で悲しい人に
思えるけど……?」

「えっ……?」

私が……真面目で悲しい?
柚木さんには、私は……そんな風に見えるの?

「そうでしようか?」

「少なからず俺にはね。
どーせ。社長のためとかって思っているのだろ?
自己犠牲の塊だね」

じこ……ぎせい?

また難しい日本語が出てきた。

でも言ってることは、間違いない。
私は、社長のために身を引いたのだ。

「社長のために思って何になるのさ?
結局は、君自身が苦しんでいるだけじゃん。
俺は、ジャーナリストとして、いろんな
修羅場を見てきたけど……君のは、違う意味で酷い。
まるで悲劇のヒロインにでもなったつもり?」