「近くまで来たので……ご挨拶に。
ご迷惑だったかしら?」

ニコッと微笑む女性。

色白で綺麗な黒髪に黒色の目をした
日本人女性だった。
例えるなら美しい日本人形みたいな人だ。

「別に構わないが……」

社長の表情が少し強張る。

どうしたのかしら……?
この女性は、社長にどの様な関係なのだろうか?

不思議に思いながら見ていると
その女性は、私に気づいた。

「あら、この方。
あなたの好きな人形に似ているわね。
一体どなたかしら!?」

驚いたように言ってきた。

「あぁ、俺の第二秘書だ。
最近フランスから我が社に入社してきた」

「まぁ、そうなの!?
フランス人……道理で綺麗な顔立ちを
していると思いましたわ。
本当にそっくり。まるで生きた人形みたいね」

そう言って私をジロジロと見ると
クスッと笑った。

何だか……馬鹿にされている気分だ。
生きた人形だなんて失礼だわ。

ムッとしていると社長が

「当たり前だ。彼女は、キティに似ていたから
採用したに過ぎん」

キッパリとそう言い切られた。

えっ……!?

じゃあ、私は……キティに似ているから
そばに置いてくれているってこと!?

似ていなかったら見向きもされないの……?

ズキッとさらに胸が痛んだ。