「まぁ、大げさね。彩人ったら
経ったの2時間ぐらいではないの」

「そんなことはない。
君に会えない2時間だなんて……俺には、
命を削るぐらいに耐えられない」

そう言いながらギュッと抱き締めた。

まるで、お別れに悲しむ
ラフラブな恋人同士のようだった。

相手は、人形だけど……。

何だか、それを見ていると
胸がざわざわして苦しい。

これは、一体何故だろうか……?

「あの……お疲れ様です。お茶をどうぞ」

私は、戸惑いながらも社長のデスクに
コーヒーを置いた。

すると社長は、私に気づいた。

えっと……。

心臓がドキッと高鳴る。

社長は、キティを抱き締めた状態で
私まで抱き締めてきた。

えっ……えぇっ!?

「あぁ、ここにもキティそっくりな
俺のアンジュが……」

『えぇっ!?あ、あの……社長……』

突然抱き締めてくるので
頭の中がパニックになった。

どうも社長は、キティに関することになると
我を忘れるみたいだ。

「あらあら……」

「社長。彼女は、キティ様そっくりですが
キティ様ではありませんよ!
そろそろ離してあげないと……彼女が
壊れてしまいます」

慌てて西野さんが止めてくれた。
すると社長は、気づいて離してくれた。