『もうちょっと……下げて』

『あ、はい。』

私は、言われた通りに少し下げてみる。

『いいわ。ありがとう。
ふむふむ。この企画書は、ボツね!
コストが、かかる上に人気が出ないわ。
おもちゃは、低価格で小さい子供に楽しんで
もらえるように作らないとダメね。
あと安全性は絶対ね!』

『私……ヒットするか、しないか見えるのよ!
フフッ……透視能力って言うのかしら?
それがあるの』

そう話すフランス人形……ではなかった。キティ。

彼女が言うと何だか説得がある。
会話が出来る上に……透視能力。

凄過ぎる……。

『あ、だから副社長を任せられているのですか?』

最初、何かの冗談かと思ったが
彼女なら有りえそうだ。

『えぇ、そうよ!
社内の人達は、そのことを知らないけど。
私のことを知っているのは、彩人の他にあなたと
西野ぐらいかしら。
だからケイティ……あなたは、私の秘書として
協力してくれたら助かるわ』

『は、はい。』

思わず返事してしまう。

フランス人形である彼女の秘書だなんて
本当に出来るのだろうか?

不安で仕方がないけど……。

すると不安がっているはずなのに
フッと社長の顔が浮かんできた。

えっ……えぇっ!?

私は、社長の顔が浮かんだことに動揺する。
ドキドキと心臓が高鳴って、うるさい。

自分が変になっちゃった気分だ。