拾われた猫。Ⅱ




「お父様たちは私に甘いから。

だから……彼は彼の家に帰れなくなったの。

私との婚約を断った、ただそれだけで」



私の手は彼女の頭に自然と伸びていた。



涙はピタリと止まり、キョトンとしながら私を見る。


けれど、それは一瞬でいつものように表情をキツくしながら、私の手を払った。




「貴方に慰めてもらいに来たんじゃないのよ!

左之助様を連れ帰りに来たの!」



頑なにそう言い放つ彼女の手を取って、立ち上がった。



驚く彼女に何も言わずに、引っ張り歩く。



「ちょっと!

離しなさい!!」

「うるさい。

黙ってついてきなよ」



チラリと彼女の方を向いてそう言うと、また前を向く。



それから目的地に着くまで、彼女は何も言わなかった。




着いた先は道場だった。



中からは木刀を叩き合う音が聞こえる。


気づかれないようにそっと道場の扉を開く。