拾われた猫。Ⅱ





左之の家は王家に近い位を貰っていた。



だから2人は出会った。


親の仕事で、左之は彼女の宮殿に来ていた。



そこにいる間、彼女の世話は彼に任されていたらしい。




「初めは私も警戒していたわ。

でもすぐに左之助様のことを好きになった」



家同士の交流は彼女が大人になるまで続いたそうだ。



彼女の両親も左之のことをたいそう気に入っていた。




「左之助様と婚約の話が出たわ。

…私がお父様にそう願ったから。

でも、左之助様は『まだ身を固める気はない』の一点張りだった。

だから私は直接彼に気持ちを伝えたけれど……」



瞼を伏せ、溜め息をこぼした。



『菊さんのことは妹にしか思えない』と、左之がはっきりと言ったらしい。



「だから貴方が許せなかったの。

私と同じくらいの歳なのに、貴方は左之助様の大切な存在になっている。

私はずっと一緒にいたのに、どうして……」



堪えていた涙が彼女の感情とともに溢れ出す。



この人は左之のことを心から好きだっただけ。


好きが大きすぎただけ。