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「ん…」という吐息とともに目を開く。



ゆっくりと体を動かそうとするが、何かに手足が引っ張られ、少しも動かせない。



「…な、に……これ」



何も答えが帰ってこない代わりに蝋燭に火が灯り、薄暗かったものが鮮明に映し出される。



「やっと目が覚めたのか」



数人の男が自分の前に立っていた。


彼女に見覚えはない。



「誰なの…?

私にこんなことしていいと思ってるの?!」



彼女の叫びに薄気味悪い笑みを浮かべる。



そして、バチンッと乾いた音と彼女の頬にヒリヒリとした痛みが走る。



「え…?」



素っ頓狂な声は何一つ理解出来ていなかった。



反射的に頬に自分の手を添えようとするけれど、拘束している何かが邪魔をして動かない。



人に甘やかされて育ってきた彼女には初めての痛みだった。



彼女は男達の笑みに自分に向けられた殺意を感じた。



自分の体から血の気が引いていくのを感じていた。