初めてこんなにも必要とされた。
───『お前は要らない』
〝あの人〟の最後の言葉にしがみついていた。
あの時の私の強さの全ては〝あの人〟だった。
私は誰かに必要とされたくて、自分がここにいる理由が欲しくて、何でもやったのは〝あの人〟が強さを欲したから。
……でも今は、何もなくても私を必要としてくれる人がいる。
だからこそ、このままいい加減にしておく訳にはいかない。
…聞かないわけにはいかない。
夕食の準備が整い、佐之に支えてもらいながら大広間に行く。
美味しそうなご飯だったけど、食べなかった時間が長すぎた。
胃が収縮しているのか、少ししかお腹に入らなかった。
平助と一が気づいて、その事をすごく心配していた。
それだけでも嬉しくて、やっぱりここは心地いい。
菊さんは相変わらず佐之から離れないけど、今日話が出来て良かったと思う。
菊さんが来てから話すのは久しぶりだった。

