拾われた猫。Ⅱ




初めてこんなにも必要とされた。




───『お前は要らない』



〝あの人〟の最後の言葉にしがみついていた。



あの時の私の強さの全ては〝あの人〟だった。



私は誰かに必要とされたくて、自分がここにいる理由が欲しくて、何でもやったのは〝あの人〟が強さを欲したから。




……でも今は、何もなくても私を必要としてくれる人がいる。



だからこそ、このままいい加減にしておく訳にはいかない。



…聞かないわけにはいかない。



夕食の準備が整い、佐之に支えてもらいながら大広間に行く。



美味しそうなご飯だったけど、食べなかった時間が長すぎた。


胃が収縮しているのか、少ししかお腹に入らなかった。




平助と一が気づいて、その事をすごく心配していた。


それだけでも嬉しくて、やっぱりここは心地いい。



菊さんは相変わらず佐之から離れないけど、今日話が出来て良かったと思う。



菊さんが来てから話すのは久しぶりだった。