拾われた猫。Ⅱ




新八と平助は夕食の準備に部屋を出ていった。


私と佐之の2人になって、鮮やかに飾られた部屋もどこか寂しさを漂わせた。



「寂しいか?」



クスリと笑う佐之に図星をつかれて、観念したように話し始める。




「まさか自分が1週間も寝てたとは思わなかった。

そうやって聞くと、何となく皆が久しぶりな気がして、意味分かんないけど嬉しかった」



膝に掛かっている布団を力いっぱい握りしめる。


でも体に力が入らなくて、〝1週間〟を身に染みて感じる。



「焦るなよ」



優しく微笑む彼は変わらない手つきで、頭を撫でて安心させてくれる。



「1週間そこらで変わっちゃいねぇよ。

誰もお前を置いて行ったりしない。

雨、今のお前の仕事はゆっくりすることだ」



子供をあやすような彼の口調に悔しくなる。


けれど、彼の優しさに安堵している。



「水貰ってくる」


落ち着きたくて、スッと立ち上がった時だった。


視界がグラリと揺れて、体の力が抜ける。