全身の熱が全て顔に集中したみたいだ。
目を見開いたまま、額を押さえている。
そのまま動けなくなっている私に満足したのか、ニッコリと笑って行ってしまった。
まだその場に残っていた新八は目が点になっており、平助は何故か動揺したのか口をパクパクして固まっていた。
佐之も目を見開いてぼーっと私を見ていた。
そんな中、一だけは私の側に来て私の額の手を退け、自分の袖で拭き始めた。
「…一?」
「…まぁいいか」
しばらく拭いて、満足したのか少し急いで出ていった。
「どうしたんだ?
斎藤のやつ、あんなに急いで」
「あ、一くんと総司がこれから巡回じゃん」
いつの間にか元に戻っていた2人は、そんな会話をしていた。
それからしばらく、3人と一緒に他愛のない会話をしていると夕方になった。
1週間経っても、皆は何も変わらずに接してくれた。
菊さんと出かけた時何があったのか、彼らは聞かない。
それはきっと彼らの気遣いだったのだろう。

