拾われた猫。Ⅱ




全身の熱が全て顔に集中したみたいだ。



目を見開いたまま、額を押さえている。


そのまま動けなくなっている私に満足したのか、ニッコリと笑って行ってしまった。



まだその場に残っていた新八は目が点になっており、平助は何故か動揺したのか口をパクパクして固まっていた。



佐之も目を見開いてぼーっと私を見ていた。


そんな中、一だけは私の側に来て私の額の手を退け、自分の袖で拭き始めた。




「…一?」

「…まぁいいか」



しばらく拭いて、満足したのか少し急いで出ていった。



「どうしたんだ?

斎藤のやつ、あんなに急いで」

「あ、一くんと総司がこれから巡回じゃん」



いつの間にか元に戻っていた2人は、そんな会話をしていた。


それからしばらく、3人と一緒に他愛のない会話をしていると夕方になった。



1週間経っても、皆は何も変わらずに接してくれた。



菊さんと出かけた時何があったのか、彼らは聞かない。



それはきっと彼らの気遣いだったのだろう。