今度は彼が私の頭を撫でる。
優しい手つきに我に返り、顔を逸らす。
「離れていても、やはり似ているのだな」
喜色満面の表情が向けられるのは私だけでは無い。
ただの直感だったが、不思議と確信があった。
「どういう意味?」
彼は私の問いに、余裕の笑みを浮かべてふわりと舞い上がる。
それはまるで壁を作りたがっているように見えた。
「雨、これはお前自身の物語。
お前が答えを見つけるんだ」
暗闇の中、キラキラと輝く琥珀色。
その光はさらに淡く輝いた気がした。
これ以上は何も聞けない。
いつもと同じように、何のヒントもないまま。
「もう行きなさい。
彼らが待っている」
霧が彼を包む。
そして私はまだ重たい瞼をゆっくりと開いた。