「即効性の毒だからもう効き目が出たと思うけど、死ぬのは30分後。
じっくり苦しんで死ねばいいわ」
クスクスと笑う彼女の後ろからゾロゾロと男の気配がした。
「こいつ本当に女か?」
「楽しめんのかよ」
文句を言う男の声に彼女の笑い声が混じった。
「本当に女の子よ。
ねぇ?」
「……」
脂汗が出てくる。
答えなかった訳では無い。
答えられなかったのだ。
「ねぇ、貴方のことを調べたの。
どうして何も出て来ないのかしら?
住所も、両親の名前も。
隠してるとしても、おかしい事だらけよ」
苛立つ声音は不満を爆発させる。
「まるでここに存在してないみたいよ。
……まぁ、貴方みたいなお邪魔虫は存在しない方がいいのよ。
誰もあなたのことを探さないわ」
男の手から彼女に渡ったのは、置いてきたはずの私の刀と暗器、そしてまだ少ない荷物。

