握りしめた拳を解き、そっと顔を上げた。
「敵兵の襲撃は香月雨の手引きによるものだという情報を得ました。
彼女と関係が深いとみられる新撰組局長、近藤勇に尋問したところ、兵士舎で待機を命じておりました新撰組の者達が動き出したとの事。
近藤勇の証言は最後までありませんでしたが、集団の動き出しは証拠というには十分すぎます。
独断で処刑を命じたのは私の落ち度ではありますが、これも国を案じてのことでありました」
あくまで冷静に、そして淡々と説明する彼女。
「はぁ?!」と藤堂平助の声が上がるとともに、原田左之助の拳が頬に入れられる。
体勢を崩し、倒れ込む彼の体は泥にまみれた。
「女王陛下、申し訳ございません。
我が隊員がお話に口を挟みましたこと、お許し頂けないでしょうか」
ぼろ雑巾のような体で謝罪を訴える近藤勇に、藤堂平助は素早く体勢を整え、先程より低く平伏す。
女王は藤堂平助をちらりと見ると、じっくりと周りを見渡す。
そして見間違えにも見える一瞬、眉を下げた。
結はその姿を見逃さなかったが、固く目を瞑り、カッと見開いた。

