笑みを崩さない男に踵を返し、綺麗な着物に身を包んだ男達の前に跪く。
「誘拐罪及び命令違反により、これから斬首を行います。
異議のある方はおられますか?」
顔を上げ、彼らをぐるりと見渡す。
男達はそれぞれがこくりと頭を静かに動かした。
女は立ち上がると、また傷だらけの男に振り返り、口角を上げる。
四方八方に控える兵達は、黙ったまま彼らの様子を伺っていた。
「これより、処刑を始める。
…切腹などと名誉な死に様は用意されてはおらぬからな」
不敵な笑みを消し、感情を持たない表情で彼を見下ろす。
男は悔しがるでもなく、絶望するでもなく、彼女をただただ見据えていた。
つまらなさそうに、女は舞台の端に控えた。
やがて処刑人が一人、刀を携えて男の横に来る。
身動きが取れないように、男の後ろに左右に立ち、両腕と背中を固定する。
静寂の中、女は腕組みをしながらその様子を見守る。
振り回される刀に男はそっと瞼を閉じたのだった。

