拾われた猫。Ⅱ



「私も赤木からそんな報告は受けていません…」


ぽつりぽつりと雨が降り始める。


赤木は側近としてはとても有能だった。

そんな大事な報告を忘れるわけが無い。


何かがおかしい…。


「それと…」


神妙な面持ちで結は私を真っ直ぐ見る。



「赤木が一度香月雨を捕らえた時、牢に入れるように指示したそうです。

何者かによって阻まれ、逃げられたようですが…」


何者か。

一番に頭をよぎるのは、さっきの少年の顔。


彼女に〝香月雨〟という少女を探すように指示したのは私。

でも連れてくるようには言ったものの、牢に入れるようにとは言ってない。


探すように言ったけど、力や出生について知っているのは私と結くらいで、彼女には何一つ話していない。

それにしても牢に入れるのは、彼女を知る者からすれば、何かを急いでいるようにも思う。

新撰組局長の処刑といい、彼女を牢に入れようとしたことといい、やっぱり引っかかる。


「結、処刑場に向かいましょう」


強い声で放った私に強く頷き、準備を始めてくれた。