少年は私の弱味を知っているような、余裕な笑みを崩さなかった。
「貴方は…〝あの子〟の…?」
「残念ながら貴方の考えは当たらずとも遠からずっす」
あからさまに溜め息をつき、「そう思うのは無理ないっすけどね」と、空いている片手を首の前で真横にして見せる。
「でもまぁ…〝俺の主〟は雨さんを痛めつける気は無いんで」
また冷たい眼差しを向ける少年は言葉を続ける。
「赤木の言葉を鵜呑みにするのは、後で雨さんの恨みを買うだけっすよ。
本当にあの人のためを思うなら、新撰組の事は解放するべきっす。
今回雨さん攫ったのは、新撰組関係ないっすからね」
あっけらかんと「ハハッ」と笑う。
「貴方を信用出来る保証は?」
「無いっすね〜。
結果次第なとこあるっすけど…」
少年はしばらく顎に手を当てて考え込むと、思いついたように「あっ、そうだ」と目を見開いた。
そして私の顔を見たかと思うと、にんまりと口角を上げた。

