拾われた猫。Ⅱ



もし新撰組が彼女を連れ去ったのだとすれば、彼女の存在を隠した時からその〝利用価値〟に気づいていたと考えた方がいい。


私は新撰組の局長さんに会った事が無い。

それは自分の立場と新撰組の立場もあるけれど、私の足の事を大きく知られないために謁見も結に任せている部分が多い。



私がしっかりしていれば、こんなに事態は難しくなっていないかもしれないのに…。


動かない足を届く範囲で撫でる。



私は新撰組を見た事さえ無いから、彼らの事についてとやかく言える立場では無い。

会っていれば、人となりは分かってくることはある。

一概に今回の件に関して、関わってるとも関わってないとも言えない。



けれど、何かが引っかかる。

いえ、引っかかるところは無いけれど、何か胸騒ぎがする。


今度こそ、〝あの子〟を失うわけにはいかない。



「本当に新撰組が〝あの子〟を利用しているのであれば、その時は……」


心の声が漏れただけで終わるはずだった。