拾われた猫。Ⅱ

◇◆◇◆◇


「結」


私は布団の上で上半身だけ起こし、花を生ける彼女を呼ぶ。


ちょうど出来上がった生け花を障子窓近くの台に飾り、布団の隣に座る。



「少し城内が騒がしい気がするのだけれど」


結は立ち上がり、今度は廊下の障子窓に近づく。


私も更に耳をすませる。

やっぱり下階からバタバタと走る音や、ザワザワと話し声が聞こえる。



「うーん、そうですね。

月姉様の言う通り、下が少し騒がしくなっているみたいです」


こちらに戻ってきて再び布団のそばに座りながら、こちらを見る。



「何かあったのかしら。

…まさか、あの子が帰ってきたの?」


布団から出ようとするものの、動かぬ足では這いずるような姿になってしまう。

結は素早く私の肩を支え起こす。



「ご無理をなさらないでください…。

赤木の話では新撰組の仲間が瀕死の彼女を連れ去ったと聞かされたではありませんか」