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城付近の森の中。


木にもたれ掛かって座り込んでいる目を覚ます。



「…っっ」


眉間に皺を寄せ、片手を首にあてながら木から体を離す。


「起きたか」


背を向けたままの外套の男が静かに声を掛けると、少年は寝ぼけ眼で辺りを見渡す。

そして溜め息を零しながら、苦笑を浮かべる。



「寝てる間にこんなとこに」

「お前が雨を逃がしたからな」


少年は後頭部を掻きながら、今度は乾いた笑いを零した。


それから両手を真上にやり、体をグッと伸ばしながら立ち上がる。



「起きたばっかりなのに、もう仕事っすか?」


今度は胸の前に両腕を十字に持ってくると、片方ずつ肩を伸ばす。



「寝起きで体力有り余ってんだろ」

外套の男は持っていた望遠鏡を後ろに投げると、少年は見事に受け取る。


そのまま男の横に並ぶと、覗き込んだ。


「雨さん、容赦なかったっすねー…って、警備多っ」


笑みを消しながら、ゆっくりと外套の男に視線を向ける少年。