もう殆ど朦朧としている意識に、平助は必死にその名前を呼ぶ。
「総司…」
小さく呟いた私の声はきっと聞こえていないはずなのに。
総司の手は、私の手を探し出して握った。
…あぁ、まだ……温かい…。
その時、お父さんと梅姉さんの光景がフラッシュバックする。
「…っっ!」
その手をギュッと握って、誰よりも温かさを感じる。
そのまま目を瞑って、琥珀色の彼を思い浮かばせる。
もう誰も…失いたくない。
今回は本当に来ないと、許さない…。
───やれやれ。
頭の中を響く声は間違いなく、琥珀色の彼のものだった。
瞼の裏に彼の姿が見えているようにすら思えた。

