拾われた猫。Ⅱ




もう殆ど朦朧としている意識に、平助は必死にその名前を呼ぶ。



「総司…」



小さく呟いた私の声はきっと聞こえていないはずなのに。


総司の手は、私の手を探し出して握った。



…あぁ、まだ……温かい…。




その時、お父さんと梅姉さんの光景がフラッシュバックする。



「…っっ!」



その手をギュッと握って、誰よりも温かさを感じる。



そのまま目を瞑って、琥珀色の彼を思い浮かばせる。



もう誰も…失いたくない。




今回は本当に来ないと、許さない…。




───やれやれ。



頭の中を響く声は間違いなく、琥珀色の彼のものだった。



瞼の裏に彼の姿が見えているようにすら思えた。