その時だった。
「ゴホゴホッ!
ゴボッ…!!」
異常な咳に私たちは一気に視線を変えた。
総司は膝を折って、口元を塞いでいた。
指の間から、血が滴る。
「総司?!!」
何も知らない平助は愕然と立ち尽くす。
私は総司に近づいて背中を摩る。
ノアも総司に近づいて膝辺りに手を乗せると、心配するように鳴いた。
「コホッゴホッ!!」
尚も止まらない咳だけが道場に響く。
しばらくしてようやく頭が動いたのか、平助はハッと我に返った。
「お、俺、土方さんに…」
「ダメだ!!!」
動揺する平助に怒鳴るような声が飛ぶ。
それが災いしたのか、更に咳が大きくなる。
ついにはその場に倒れ込んでしまった。
どうすればいいのか分からず、大きな瞳を曇らせる平助は総司の肩を抱く。

