拾われた猫。Ⅱ




その時だった。



「ゴホゴホッ!

ゴボッ…!!」




異常な咳に私たちは一気に視線を変えた。



総司は膝を折って、口元を塞いでいた。


指の間から、血が滴る。




「総司?!!」



何も知らない平助は愕然と立ち尽くす。



私は総司に近づいて背中を摩る。



ノアも総司に近づいて膝辺りに手を乗せると、心配するように鳴いた。




「コホッゴホッ!!」


尚も止まらない咳だけが道場に響く。



しばらくしてようやく頭が動いたのか、平助はハッと我に返った。




「お、俺、土方さんに…」

「ダメだ!!!」




動揺する平助に怒鳴るような声が飛ぶ。


それが災いしたのか、更に咳が大きくなる。



ついにはその場に倒れ込んでしまった。



どうすればいいのか分からず、大きな瞳を曇らせる平助は総司の肩を抱く。