本調子の総司に安心する。
逆におされ気味な平助は、目を鋭くして歯を食いしばっている。
平助はすぐに顔に出るから、駆け引きには向いていない。
クスクスと笑っていると、平助の木刀が真上に飛んでくる。
「危ねぇっ!!!」
平助の声が聞こえた。
肩に乗っていたノアを胸に抱いて、片手でそれを取る。
「どうしたの?」
「……いや…、別に」
何事も無かったように言う私に、苦虫を噛み潰したような顔をした。
首元には総司の木刀がある。
「勝者、総司」
「分かってるって…」
審判として一応言うけど、平助は不服そうに口を尖らせる。
その横で、当たり前だというように笑っている総司。
「にゃぁ〜」
私の腕から這い出したその声は平助を映した。
更に落ち込んで、「ノアまでも…」と呟いていた。

