拾われた猫。Ⅱ




そんな私を知ってか知らずか、総司の誘いに乗って道場に来た。



道場では平助が一人稽古をしていた。





「おっ、雨と総司じゃん!

2人も稽古しに来たんだ?」



素振りを止めて、私たちに駆け寄ってきた。



もう長くしていたのだろうか、この季節に汗ばんでいた。




「まぁね。

雨ちゃんに相手してもらおうと思ってたけど、平助でもいいよ」

「何だよ、『平助でも』って…。

まぁいいや。

俺も誰かとやりたかったし」




総司のにこやかな嫌味に眉を寄せた。


でもその表情はくるりと変わって、不敵な笑みを見せた。




結局私は、審判をすることになったのだった。




総司も木刀を持ち、2人が構える。



顔を交互に見て、「始め」と声を上げる。



その瞬間にいきなり木刀がぶつかり合う。