そんな私を知ってか知らずか、総司の誘いに乗って道場に来た。
道場では平助が一人稽古をしていた。
「おっ、雨と総司じゃん!
2人も稽古しに来たんだ?」
素振りを止めて、私たちに駆け寄ってきた。
もう長くしていたのだろうか、この季節に汗ばんでいた。
「まぁね。
雨ちゃんに相手してもらおうと思ってたけど、平助でもいいよ」
「何だよ、『平助でも』って…。
まぁいいや。
俺も誰かとやりたかったし」
総司のにこやかな嫌味に眉を寄せた。
でもその表情はくるりと変わって、不敵な笑みを見せた。
結局私は、審判をすることになったのだった。
総司も木刀を持ち、2人が構える。
顔を交互に見て、「始め」と声を上げる。
その瞬間にいきなり木刀がぶつかり合う。

