拾われた猫。Ⅱ




「巡回が終わったのか?」



職務をする手を止めて、総司を見た。



手を頭の後ろに組み、「いつも通りだったよ」とニコッと笑う。



それを聞くだけ聞くと、また職務に戻るトシ。



総司はその場に座ると、また咳をし始める。




「まだ風邪か?」

「えぇ」

「早く治せ」




何も知らなければ、ただの風邪にしか見えない。



昨日のように血を吐いていない事に少し安心する。


総司は私とバチッと目を合わせる。




「そんなに心配しなくても、すぐ治るよ」



優しい微笑み。


それが今は悲しかった。



私ではどうすることも出来ない。


事実はそうだとしても、『何とかする』と約束した。



……もう、誰かが居なくなるのは嫌だ。