目が覚め、朝食を終える。
そこまではいつも通りだったけど、しばらくすると指名された組の人たちは、普段は着ない浅葱色の羽織りを着て、城へと旅立った。
心なしか、平助もつまらなさげに見えた。
トシは何も心配していないかのように、職務をこなしていた。
「……そんな心配そうに俺を見るな」
「トシは私の方を見てないくせに何で分かるの?」
「…………うるせぇ」
ほんの僅か顔を赤らめていたのは気のせいだろうか。
よく考えてみれば、ここには何の情報も入ってきてない。
女王を狙う賊もいないという事だ。
それに左之たちのことだ。
ただでは殺られはしないだろう。
「心配するだけ無駄か…」
ボソリと呟く私を笑う声が聞こえた。
「とか言っても、心配そうだよね。
雨ちゃんがそんなに心配症なのは知らなかった」
部屋に入ってきたのは、いつもと変わらない総司だった。

