拾われた猫。Ⅱ




部下たちを一生懸命指導する左之の姿があった。



指導を受ける部下たちは「もう一本」と楽しそうに左之に挑んでいく。




「左之さーん、僕にも稽古つけてくださいよ」

「はぁ?!

お前は稽古いらねぇだろうが」



茶化しながら脇で見ている総司にもちゃんと対応している。


彼女は目を見開いて、その様子を食い入るように見ていた。



「これが私たちが見ているいつもの左之」



彼は面倒見が良くて、所謂兄貴肌だ。


部下たちはそんな彼を慕っている。



「ここにいる左之は十番組組長原田左之助だ。

堅苦しい家柄に囚われる左之はここにはいないから」



見開いていた瞳を少しずつ瞼で閉じていく。



「左之助様…」


ポツリと漏らした彼の名前に振り向くことは無かった。



代わりに彼女は背を向けて、戻って行ってしまった。



その背中は何かを決意したように見えたのは気のせいだろうか。