部下たちを一生懸命指導する左之の姿があった。
指導を受ける部下たちは「もう一本」と楽しそうに左之に挑んでいく。
「左之さーん、僕にも稽古つけてくださいよ」
「はぁ?!
お前は稽古いらねぇだろうが」
茶化しながら脇で見ている総司にもちゃんと対応している。
彼女は目を見開いて、その様子を食い入るように見ていた。
「これが私たちが見ているいつもの左之」
彼は面倒見が良くて、所謂兄貴肌だ。
部下たちはそんな彼を慕っている。
「ここにいる左之は十番組組長原田左之助だ。
堅苦しい家柄に囚われる左之はここにはいないから」
見開いていた瞳を少しずつ瞼で閉じていく。
「左之助様…」
ポツリと漏らした彼の名前に振り向くことは無かった。
代わりに彼女は背を向けて、戻って行ってしまった。
その背中は何かを決意したように見えたのは気のせいだろうか。

