「私、仕事はきちんとこなしてますよ?」


「えぇ。知っています。」



「エライ人の前で失礼な事もしませんし。」




「というより隅っこで丸くなって震えるタイプですよね」 




「じゃぁどうして」



魔法少女の異動は滅多に無い。



それこそ、本部たっての通告とあれば尚更だ。




「あー、それがですね。私もよくわからないのです。

ただ、上司づてに聞いた話では、貴女が異動する吾妻市は“ヌイグルミ”が発生しやすいと。」




“ヌイグルミ”




魔法少女の敵であり、糧である魔物らしきモノだ。



見た目の可愛さで人を欺き、呪いの人形としていつの時代も出現してきた。



ソレが余りに酷い惨事を生むため、国が急遽秘密裏に結成したのが“魔法少女覚醒委員会”だ。




魔力の適性があると判断された幼い少女を保護の名目で攫い、覚醒を促す。



ただ、魔力にむらのある人の場合判断されるのは幼少期とは限らない。



寧ろ、幼少期に判明するほうが珍しいくらいだ。