「あー、理解してませんよね?」
ありゃ、バレたか
「はぁ、しょうが無いですね。
まぁ普通こんな上層部が作った独り善がりなグラフとか資料とか見てもわかんないですよねぇ」
不満そうに目を細めた彼女は、いそいそと出した資料を回収していく。
「あの…お帰りですか?」
「まだ帰りませんっ
っていうか私、まだ貴女に何も伝えてないじゃないですかぁっ」
さいですか。
作りかけの珈琲が入ったカップを持って台所を目指す。
長居するつもりらしいのでお茶位は入れねばならない。
まぁ、この家には紅茶や緑茶などバリエーション豊かな飲み物は無いので、珈琲で我慢してもらうしかないのだが。