もう少しで学校が見えてくるという所で、今井くんに会った。

いつも同じような場所で会っている気がする。

今井くんが後ろからやってくる足音で、いつも気付いてしまう。

今日は何時もより少し速いテンポで近付いてきた。

「ツッキー!おはよー!」
と明るい挨拶。

「おはよ。」

僕は明るい挨拶を返せた訳ではないが、今井くんは毎日挨拶をしてくれる。

それが当たり前になっているようにも思った。

今井くんの視線が、僕の隣を見つめていることに気が付いた。

僕の隣には彼女が居る。

今井くんは頬を赤く染め、彼女に対して丁寧な挨拶をした。

「…おはようございます。」

「えー!なんでツッキーにはフレンドリーなのに、私には敬語なの?」
と笑っていた。

今井くんは、更に顔を赤くして、「…おはよう」と言った。

彼女は、さっきより明るい声で「おはよう!」と言った。

二人の笑い顔を見ていると、どうしてか僕まで口角が上がる。

このまま時を止めたいだなんて馬鹿な事を思うくらい、この瞬間を好きだと思った。