朝の日射しが、カーテンの隙間から入り込み、私の顔を照らす。


「……ん、もう、朝……?」


まだ夢見心地で、薄く瞼を開く。
夢と現実の狭間にいるようで、意識がはっきりしない。


「あ……また……」


右手の人差し指で、目尻を触ると濡れている。


目覚める直前に見ていた夢───。


泣くほど悲しいはずなのに、目覚めるとその内容が思い出せない。


胸に残る感情は、とても切なくて悲しい。
大切な何かを失ったような……。


「葉瑠ー、起きなさーい、遅刻するわよ‼」


「はーい」


母の呼び掛けに、一気に現実に引き戻される。


まぁ、寝る直前に恋愛小説読んだりするから、きっとその影響だよね。


私は知らなかった。
この涙の意味を───。