「大丈夫だよ」

「匂いがダメで、さっき、吐いてただろ…休んでろ」

吐くようになり、キッチンに立つのもやっとじゃねぇか・・・。

柚に教わりながら作る。

「弁当はコンビニにするからな・・・響君」

「ですね。お父さん」

何度もトイレに駆け込むから『響君、しばらく、実家に戻ったらどうだ?』とか『俺はなんとでもなる』という。

「柚、そうするか?」

「家がいい。ここにいたい」

「じゃあ、仕事の間だけは行ってろ。仕事帰りに迎えに行く」

「わかった」

仕事は休ませ、実家に預けた。夕方、迎えに行くと『夕食は温めて食べてね』と伯母が持たせてくれる。

お袋やお母さんも日曜日などは来てくれた。

悪阻は1か月続き、クリスマスも、正月も引きこもりだった。