君が笑う理由になりたい


「か、神谷くん。あの人に何したの?」


恐怖より混乱で呂律が回らない。


「もうあの人は死んだ」

「神谷くんが殺したの?」


神谷くんは、そんなことしないと信じていても、それの真逆の疑いの言葉が出てしまう。

だけど、絶対理由があるはず。

体は、混乱しているが、
心は、冷静なことに自分でも驚く。


「それが俺の使命なんだ」

「なにそれ…」


いつもなら、ツッコミを入れる私でもここでは入れられない。


「ちょっと、場所を変えようか。」

「う、うん」


全く力の入らない足を察したのか、神谷くんは手を差し出して握ると引っ張って立たせてくれる。

そのまま手を繋いだまま、路地裏をでて人通りが多い大通りのカフェに入る。


私が、“殺される”とでも思っていると考えていたのか、
わざと人通りの多いこの店にしたのだろう。

それも、神谷くんの優しさ。
絶対、悪いことはしてないはずだ。

カフェの少し奥の人が少ない席に座り、店員に怪しまれぬよう、てきとうに飲み物を頼む。


「嘘だと思うけど、俺はこの世で言う、
“死神”なんだ」


神谷くんは死神の縫いぐるみを指差しながらそういった。

少し口角をあげたが引きつってるだろう。

「ええ、冗談酷い…」

「この状況で冗談なんて言うか?
それに、証拠もさっき見ただろうし、
まだある。」


見るか?と聞かれるが、断る。
神谷くんの口から言って欲しい。

使命って何?
そう、震えた声で聞いた。


「終わる命を刈り取るんだ。
死は、俺ら死神が仕事をする事で
成り立つ。」

「俺ら?」

「俺の他にも死神は沢山いるよ。
俺1人で出来るもんじゃない。
俺らは上の人に命令されて動いてるからてきとうにやってるとかじゃないよ。」