君が笑う理由になりたい


こそこそ。

昨日、夜までゲームをした。
そして、案の定、遅刻。
まだ、眠気は覚めない。

クラスメイトが授業をする中、物音を立てずに席を目指す。

先生は黒板に字をかいているため、見ていない。

何人か、こちらを振り返るたびに人差し指をたてて、口止めする。


「あー、片桐。お前、あとで職員室な」

「げっ。気づいてたの?」


私に背を向けて、見えないはずなのに。


「遅刻の理由は?」

「えっと…コーディネートに迷って…」

「制服なんだから、コーディネートもくそもねえだろ」


どは、っと教室が笑いに包まれる。

その中に、神谷くんもすこし笑っていたような気がした。

その笑顔に、眠気が覚める。



午後には、授業も終わって青春が感じられる部活の掛け声がグラウンドに飛び交う。
その声を聞きながら、神谷くんと歩く。

昨日のご飯を奢る約束で。

近くのファストフード店に入ると、まだ梅雨なのにクーラーが効いて中高生で溢れていた。

友達同士でご飯を食べながら勉強する者、
恋人同士仲良くスイーツを食べる者。

私たちは、どれに当てはまるのか、
自分ではわからなかった。

もしくは、まだその称号らが無いのかもしれない。


私は、グラタンを頼むと、神谷くんも私に合わせてグラタンを頼んだ。


「ねえ、もう一度聞くけど
なんでそんなに笑わないの」

「じゃあ、片桐さんは何でそんなに笑えるんだ」

「笑うと幸せが増えるの。
他の人の笑顔を見てても。勿論神谷くんも」

「やっぱりよく分からん」


不思議そうな顔をする神谷くんは、運ばれてきたグラタンを頬張った。


「あとでゲームセンター行こうよ」

「…少しなら」


そして、私も残りのグラタンを食べる。