社長の甘い罠~いつしか当たり前に~ + 番外編

爆発した私は一気に言葉を続ける。



「勝手に引っ越し?勝手に挨拶?私の意見は?」


「約束しただろ?同棲も婚約も挨拶をするのは当然だ。」


「だからって勝手にしていいの?」


「勝手にしたのは悪かった。でも花菜は……俺が強引にでもしないと、延ばし延ばしにするだろ。」


「だからって!」


「なら、プロジェクトが終わったら引っ越しの手続きしたか?両親にも会わせたか?」


「…………するつもりだった。」



健人がソファーから立ち上がり、私に一歩近付いた。


見下ろしていた私が見上げる立場になる。



「俺は花菜と一緒に暮らしたい。離れたくない。」


「………。」


「花菜の帰る家は俺の家だ。この部屋は必要ない。」


「…………。」


「花菜の両親にも結婚の挨拶に行く。花菜、俺と結婚する話は伝えたか?」


「…………まだ………。」



健人の大きな溜め息が聞こえた。